08-02/製本のキモ「紙の目」

紙には『目』があります。
・紙を造るとき、大きなベルトコンベアに乗せて、繊維を流し込み、水分を抜いて乾燥させるという工程があります。
・ベルトコンベアの上を通った紙は大きなローラーに巻き付けられ、カットされて売られます。
・水に浮かんだ紙の繊維ががローラーにまき付けられるまでの間に、繊維の方向がベルトコンベアの進行方向に対して平行に並びます。これが「紙の目」です。
・紙は湿気を帯びると伸びます。このとき、「紙の目」にそって丸まろうとする性質があります。
・また、「紙の目と垂直方向には湾曲しにくい」という性質もあります。
・厚い紙や、薄い紙でも束になった場合、その性質が強く現れます。
・本やパンフレットにした場合、綴じる辺と平行に紙の目を使うと、スムーズに開きやすく、読みやすい書物になります。
・紙の目を閉じる辺に対して垂直に使うことを逆目(さかめ)といいます。
・紙を逆目で使った本は、湿気を含むとページが本の背と垂直方向に丸まり、開きにくい本になります。何度も開いたりに壊れやすくくなります。
■本の制作には、背と水平に「紙の目」が通るように紙を使います。
・カットされて店頭に並んだ紙や、出力紙としてパックにされた紙の中には、実はいろいろな目の紙が混ざっています。
・手製本では、あらかじめ紙の目をテストし、また、大きな紙をカットして使う場合には、わざわざ「紙の目が本の背と平行になるように」注文します。
※本の背と平行して紙の目が通った状態を「縦目(T目)」といいます。
・出力ペーパーにも「紙の目」はあります。ただし、あまり、目の性質が強いと、熱によって丸まったりして、詰まりやトラブルの原因になります。普通の書籍用紙よりも平滑に作られています。
・A3のペーパーなど大きい紙は、長方形の横長の方向に進むようにセットされることがほとんどなので、紙は「長い辺にそって紙の目が並ぶ」「横目」で作られていることが多いのです。
*課題を出力する際に、使う用紙の紙の目を確かめてから、使用する用紙の紙の目に合わせて版下を作成しましょう。

投稿者 yone : 2011年12月02日 09:24