2回目の授業で勉強すること/10月17日(月)21日(金)
2回目の授業で勉強すること/10月17日(月)21日(金)
■本日は、CDパッケージのデザインの制作をすすめます。
友達の作品をみながら、かっこいいデザインについて、考えました。
■デザインの役割……重要なポイントが3つありました。このポイントがどうか?という観点で提出作品を講評していきます。
*アイキャッチ*
見る人の心を引きつけるハッさせる驚きがあるか?
強さは大きさ(表面積)と関係があります。
ただ大きくすればいいってもんではなく、他の要素とのバランスです。
*視覚誘導*
目を動かし、ユーザーの目を引きつけ、視点を作者の思惑通りに動かす。
目が動く道に、必要な情報を置いて、言いたいことを伝えたい順番で伝える。
見る側は目が気持ちよく動くと、かなり長く見つめていたくなる。
長居させる作戦。
*メッセージ*
知らせたいことやイメージを、短時間で強く、正確に伝える。
分かりやすい言葉。分かりやすい形と色。
■デザインの部品ひとつひとつが丁寧につくられているか?
*タイトルはどうか?
*イメージはどうか?
この要素に分解して、デザインを磨いていきます。
「目で見て、目がおいしいと喜ぶ」ような割合と場所に調整していきます。
<今週の宿題>
A「CDパッケージコンテスト応募作品」
143×125に創ったものを2枚出力する。1枚を143×125mmに裁断します。裁断に失敗することもありますので、時間に余裕をもたせて準備しましょう。
A4サイズの黒いケント紙を準備してください。出力した自分のデザインを143×125mmに裁断し、貼付けて提出。のりで貼りますとしわが寄りますし、もしかすると修正点が出て、もう一度出力しなおす可能性がありますので、両面テープなどで裏側から角だけ留めておいてください。
もう1枚は修正点や改善点を書き入れるのに使用します。裁断せずにお持ちください。
次回授業開始時に集めます。
02-01/タイトルをマークのようにデザインしてみよう
ロゴマークは、いっときの流行に追われないでずっと会社や店やブランド名を伝え続ける働きがあります。
周りの風景からふっと目を寄せるには、誰にでも判読できてわかりやすい、ということが必須です。また同時に店やブランドの個性を主張するものでなくてはなりません。そして、大きい看板に拡大されても、ちいさいツールに縮小されても形が壊れたり、読めなくなるようなことがあってはなりません。
皆さんが作っているアルバムのタイトルも、CDが発売される折には、拡大されたり縮小されたりして、いろいろな物に刷られます。だれにでも読めて、個性があって、ずっと眺めていたくなるほど見る人の目を喜ばせて、そのタイトルをみただけで、「あー、あれね!」と商品全体を一瞬で理解させる役目が求められます。
かっこいいなあ、と思わせるものには理由があります。
下はスターバックスのロゴです。
もう、今では風景にとけ込んで、なんの抵抗もなく「あ、すたばだー」と、受け入れてしまっていますが、わたしは、このデザインはとてもよく考えられている、と思っています。
いろいろな仕掛けが施されているのです。授業では、このロゴ隠されたいろんな仕掛けを分析してみました。
このマークはイラストで表現されていますが、フォントを並べるのもイラストを処理するのと同じように、考えてオッケーです。
02-02/欧文フォントの扱い注意点
欧文フォントはざっくり2分類できます。
・セリフがある「セリフ体」
・セリフがない「サンセリフ」
セリフというのは文字の縦棒の始めと終わりについている細くて短いでっぱりのことです。大昔、紙が一般的に使われる前、文字は石に彫られていました。のみで彫っていったのですが、セリフとはのみが滑らないように、先に文字の高さの上下につけた滑り止めなんだそうです。セリフを持つ書体は歴史が古いと言えます。
セリフ体もセリフの丸みやストレスの角度によって細かい分類があります。
サンセリフも生まれた時代や開発の背景によって、太かったりやせっぽちだったり、さまざまな個性があります。
このフォントたちを使いこなしていくのですが、わたしはフォントについてこう考えています。
コンセプトは映画にたとえると「あらすじ」。コピーならびに文言はお話を伝える「セリフ」。フォントはセリフを言う「役者の声」。
さあ、みなさんのストーリー「Feel The Earth」をどんな声で読ませますか?役者さんをキャスティングするような気持ちでイメージにぴったりのフォントを選んでみましょう。
ぴったりのフォントが選べたら、次は、読ませるスピードを考えましょう。ゆっくり読ませるには、文字と文字の間「字間」をゆったりとります。楽しく読ませるには、なにか工夫を加えてリズムを持たせましょう。大きさを調節すると抑揚がつきます。まるセリフにアクセントをつけて読ませるように。 どこを強くさせたいか?によって、面積に差をつけていきます。そう、先に印象つけるのはどこにしたらいいかを決めなくてはいけませんね。
02-02/おまけ フォントのダウンロード
最初におわびです。
この授業はみなさんのパソコンの環境内で組み立てており、現在、デジ大では、グラフィックデザインの勉強に充分な、フォントが豊富な環境を用意できていません。
ですので、これから先は、今後必要な人だけ、個人の自己責任で研究してください。
フォントのダウンロードの話です。
わたしたち、デザインに携わる仕事をする者は、間違いなく、フォントをいつも探しています。フォントがなくては仕事が成り立たない、それほど重要です。
わたし自身はモリサワというフォントメーカーと年5万円のライセンス契約を結んで、フォントを買っています。
下におすすめのフォントメーカーへのリンクを貼っておきます。
興味のある人は研究してみてください。いろんなフォントがあることをしることだけでもものすごい勉強になりますよ。
■和文書体
・モリサワ
・フォントワークス
・ダイナフォント
・ニィス
■欧文書体のフリーフォント
・dafont.com
・urbanfonts.com
・ourtype.com
・50 High Quality Fonts Every Designer Must Download
※フォントをダウンロードする際は、ファイルサイズと加金されないかどうかを確かめ、自己責任でお願いします。
※ダウンロードしなかったとしても、眺めているだけで、イメージが広がる!
皆さんの作品に使えそうなフォントが見つかったら、ぜひ、参考にしましょう。
02-03/主役の形と地の形
イメージ画像の話です。
イメージの主役それをPhotoshopで開いてみましょう。出力レベルを変えて、シルエット化してみてください。真っ黒にまでしなくても、形の細部がつぶれて、固まりに見えるようになればOKです。
描いた本人は、何の形か分かっていても、見る方にはうまく伝わらない場合があります。目は、物をみるとき、とても大まかな物体として最初物をとらえます。
最初の印象は、なるべくさっくり、単純な形の方が、伝わりやすいです。
アウトラインの形はわかりやすいですか?ギザギザして複雑すぎたり、他のものを連想するばあいは、もしかすると、目には「わかりにくい形」かもしれません。
ちょっと直せば複雑だったアウトラインがすーっとのびのびしたきれいな曲線に修正できたりする場合は、切り取り方をかえたり、ものとものの距離を変えたり、色を調整して形を整えます。
もう一つポイントがあります。
ものの描いてない空白。
これもデザインの重要な要素の一つなんです。デザインの指南書でも落としている場合が多いのですが、
「ホワイトスペース」
これもデザインの要素の一つに、わたしは数えています。
ものの形を決めるということは、空いている場所の形を決めることでもあります。
Photoshopで「色調の反転」というのを試してみてください。明度の逆転が起こって、地と主役の面積比率が美しいかどうか?が一発でわかります。
味に、おいしいと感じるバランスというのがあるように、視覚にも「気持ちいい!」と感じる面積や長さのバランスがあります。人間がだれしも共通に「美」を感じてしまう、目にとっての美味しい割合。
これは、歴代の画家や芸術家が追求してきた結果が世界中の美術館や遺跡に残っています。きれいな建物や道具は構造上も強く、長い時間壊れずに今も残っています。生き残る強い形を人は美と感じるのかもしれませんね。
02-04/画像データの下準備
加工がおわったら写真はいったん保存しましょう。
次に書き出し用のファイルを別名で保存します。
印刷原稿用のデータですから、カラーモードを「CMYK」に変更します。
「イメージ」「モード」「CMYK」
CMYKにカラーモードを変更すると、色の鮮やかさが多少失われます。
それを色調補正したあと、印刷用のデータを書き出します。
<印刷のファイル形式は印刷会社の都合に合わせる>
印刷会社によっては、「PSDでなくPhotoshopEPSにしてください」というところも増えてきました。なにがどう違うかというと、印刷会社の持っている設備によります。
入稿前にかならず仕事先に電話で、「入稿の際の画像のファイル形式」をたしかめましょう。
<PSD方式で印刷用のデータを書き出す>
今回の出力はPhotoshopPSD方式がよいでしょう。
この場合はレイヤーパレットのメニューから「画像を統合」を実行します。なるべくデータ量を軽く、安定したデータにするためです。
Photoshop形式のよいところは、透明の部分もそのまま書き出すことができる点です。「.psd」の画像をイラレに配置して入稿するときは、レイヤーを1枚にするのを忘れずに。レイヤーをまとめると編集ができなくなるので、必ずもとの画像を別名保存しておくのを忘れないようにしてください。
<EPS方式に書き出す>
EPSとは「Encapsulated PostScript」の略です。PostScript形式いうファリウの形式でDTPの仕事ではよく使われます。
もしもバージョンの低いInDesign,QuarkXPress,PageMakerなどの編集ソフトで仕事をするばあいも「EPS方式」のデータでしたら、トラブルなく使用できます。
「別名で保存」「ファイル形式」を「PhotoshopEPS」にし、Illustratorの版下原稿と同じ階層に保存します。
ダイアログがでますから、プレビューを「8bit」、エンコードは「ASCII85」を選ぶとよいでしょう。
EPSは、作業用の軽い「アタリ画像」ときれいな画像が2枚一組になったファイルです。イラレ配置時に「リンク」にチェックを入れて配置すると、イラレ上には軽い「アタリ画像」が配置されます。この画像はモニターで見た目はざらついているのですが、いわば場所を示す目印です。出力時に自動的に、重いきれいな画像を読み込んでくれます。印刷の画像のデータは重いので、たくさんの写真を扱う本などの原稿にはEPS方式を貼り込んだ方が、作業効率が良いとされてきました。
EPSは透明の表現ができないので、透き通った表現があるときには、Photoshop上で画像を合成したり、クリッピングパスの処理をしておく必要があります。
02-05/画像の配置
写真が準備できたら、最初に作った版下にとりあえず配置してみましょう。
テスト出力をして、改善したほうが良い点をチェックします。
出力すると、モニターではわからなかった弱点や、強調したほうが良い箇所が浮かび上がります。修正と出力を繰り返します。
<リンクにチェックを入れて配置>
イラレ上に配置された画像を選択するとバウンディングボックスの対角線に斜線が入ります。これが「リンク」の印です。イラレ上には実際の画像はなく、画質の荒いアタリ用のがぞうが見えている状態です。
重い画像ファイルは外部にあり、出力時に初めて組み込まれることになっていますので、デザインワークや保存がスムーズです。
入稿時には、リンクが切れないように、Illustratorで作った版下と「.psd」の画像の位置関係を崩さないように入稿しましょう。
<リンクにチェックを入れないで配置>
イラレ上に直接、重い画像がドドーンと埋め込まれます。出力時と同じ画像の状態をモニター上で確認できますが、原稿のデーター量はとても重くなります。保存をまめにしながら進めましょう。
02-06/クリッピングパス
Illustrator上に画像をいったん配置して、画像のどの辺を切り取るか、どこまでを入れるかを決定したら、 ページの大きさにクリッピングパスを作り、画像のレイアウトを確かめるのもいい確認方法です。
1. 画像の上に重なるように、ページの大きさの長方形を書く。
2. 長方形と画像を両方選択する(選択ツールを持ち、Shiftキーを押しながらクリックしていくと、追加選択できる。)
3. 右クリックで「クリッピングマスクを作成」を選ぶ。
4. クリッピングマスクがかかると、画像と四角はグループ化される。部分選択ツールで画像のみをクリックすると、中の写真のみを動かすことができます。
5. 写真と写真の角がぴったり合うように、気をつけます。画面を拡大して、隙間がないか、重なりがずれていないかを確認しましょう。
02-10/トリムマーク
トリムマークを作成していない生徒は、出力サイズに応じて、トリムマークを作成します。
仕上がりの寸法で長方形を描き、線は「なし」、あるいは、線を「内側」に設定したら、「トリムマークを作成」を実行します。
すでにトリムマークを作成している生徒は、出力時にトリムマークを表示して出力しましょう。
1 印刷の原稿として印刷所に入稿するときは、トリムマークのレイヤーを最上位に移動します。
これは、トリムマークが隠れないようにするための配慮です。
2 塗りたし線の上まで、要素をのばしておきます。
のばすときは、画像じたいを拡大縮小するのではなく、パスのアンカーポイントのみを部分選択ツールで丁寧に選択して、3mm外側まで広げておきます。
画像がどうしても足りない場合はPhotoshopで加工して、画像ファイルをちょっぴり大きくします。
3 デザイン確認のみの場合は、塗りたし線に画像があると、デザインの確認ができにくいというデメリットがあります。あえて、画像は裁断線の上でカットしておきます。
最終提出用の出力時に塗り足し線まで画像をのばします。
(先に、塗り足し線まで画像を作っておいて、最終出力時までは、仕上がりサイズのクリッピングパスをかけておくのもよいでしょう。)
02-11/出力・トリムマークの処理
※ PDFの原稿を書き出す場合は、「トリムマークの外側は書き出されない」という性質があります。
もしも余分な画像を画面の外側に配置してあったとしても、トリムマークを作れば、そのトリムマークの外側に描いたものは画像に含まれないのです。この性質はウェブデザイン時などに利用できますね。
※CS4から、ドキュメントのサイズを指定すると、新規書類作成時に自動的に、ドキュメントの大きさで、トリムマークが作成されるようになりました。
CS4以前のバージョンでは、自分の手でトリムマークを作成しなくてはならなかったのです。
CS4、CS5を使っている学生は、
「ドキュメントを仕上がりのサイズで作成してデザインを進める」
「出力時に出力紙に、ドキュメントサイズより、一回り大きいサイズを選ぶ」
「入稿時に塗りたし領域(天地左右ともに3mmおおきい余分な領域)を足す」
「プリントサイズでは拡大縮小なしにチェックを入れる」
この3つを実行すれば、本来はドキュメントサイズを変更する必要はありません。
ですが、「ドキュメントサイズの外側に描かれたトリムマーク」は出力時には確認しにくく、また、プリンタによっては出力されないこともあります。
トラブルを少なくするため、この授業では、最初からA4サイズの用紙の上にトリムマークを作成し、さらに、デザイン進行時に、仕上がり寸法が確認しやすいように、出来上がりの寸法ぴったりに枠を作成し、レイヤーを分けました。
出力するときは、仕上がり寸法で作成した枠をレイヤーの可視ボタンをオフにして、線を見えなくしてプリントし、断ち切り線でカットします。
下記はこの授業の課題提出に関しての確認事項です。
・用紙サイズは制作物よりも一回り大きい書類を選べているか?
・出力サイズでトリムマークを作成しているか?
・トリムマーク作成後、アピアランスを分割しているか?
・トリムマークの線色はレジストレーションになっているか?
・トリムマークの塗りたし線まで画像を広げる。忘れていないか?
・ドキュメントサイズと同じ用紙サイズで出力紙を選ぶ。
・出力は2枚 提出には2枚とも使う。
・プレゼンするときは、1枚を仕上がりサイズにカット もう一枚はカットしない。
この授業以外でイラレを使用するときには、その場その場の条件を確認するくせをつけましょう。求められた状況に臨機応変に合わせることができるようになれば、パーフェクト、です!。
02-12/出力と紙
作品をプレゼンするときに、紙と出力の問題は、作品の評価に大きく関わってきます。
デザインの仕事では「ぱっと見たときの最初の印象」が、もっとも重要視されます。
どんなに細かい仕事をしても、出力のレベルが悪く、紙の上に再現されていなければ、「無駄な労力」と化してしまいます。
Point1 最初から、出力する大きさを意識して、作品作りを進める。
Point2 データを作るときに、ファイルサイズを間違えない。
以上2つのポイントはこれまでの授業でもお話してきました。
ポイントはもう一つあります。
Point3 出力するときに、紙を選ぶ
紙だけで、印刷のクオリティーが違ってくるのです。
学生の皆さんが選べる範囲で、紙には、大きく分けて2つの種類があります。
1非塗工紙
普通紙や画用紙など、表面に紙の手触りが残った、ざらざらした風合いの紙です。
2塗工紙
表面を顔料で滑らかに加工したつるつるの風合いの紙です。
塗工紙の中でも、ツヤ加工を施したミラーコート紙やツヤの無いマットコート紙など、種類が分かれます。
表面の顔料のおかげで、インクが紙の表面にとどまり、濃くのある色が出ます。
確認のための出力は普通紙で十分ですが、コンペや就職用には、塗工紙をしようすると、作品のクオリティーが上がります。
キンコーズなどの出力センターでは、1枚づつ紙を購入して、選んだ紙に出力することができます。
また、厚みもいろいろ用意されており、用途によって使い分けるのですが、応募作品も、すこし厚めの紙を選ぶと存在感が増します。
見る人が手に取るものを作る場合は、プレゼン時から、製品の仕上がりを想定して、紙を選んで出力することが多いので覚えておきましょう。