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20 juli 2005
ダイエット図書館
並んで歩いていた製本教室のあちゃんが気がついた。
「だいえっととしょかん」。National Diet library。ほんとに看板にそう書いてあるんだから。
ダイエットの文献ばかりを集めた図書館では、決してない。貸し出しの係の人やレファレンスのおねいさんが全員ダイエット中というのでもない。医者からダイエットを勧められた人のみが利用できる、というわけでもない。
国会図書館に行ったのだ。
製本教室に、秦先生という、古い書物の紙を修復する仕事をする方が工芸製本を学びに来ていて、その方のおかげで、よねたち、製本を学ぶ人たちは、国会図書館の修復室を見学できることになったんである!
ページが酸化しちゃってぱらぱらになった本の劣化をどう食い止めて保存するか、とか、背の糊がばきばきになってページがほろほろ落ちじはじめた無線綴じの本をどう修復しているか、とか、江戸時代や明治時代の貴重な書簡を裏打ちしている現場とか、虫食いを和紙のくいさきで埋めている人の仕事机とかを見せていただいて、ほーんとためになった。
最大の発見は、ふだんよねがしている製本や修理の方法は、国会図書館のそれとほとんど違わらない、ということであった。
国会図書館は「貴重な資料を後世に残すための修復だから、なるべく、オリジナルと同じに仕上げる」。そこだけがよねたちとは大きな違いだ。
表紙のカバーの皮やページの紙は、もとのものと同じ素材がないときは、材料を染めて、できるだけもとの状態に近づけるといってた。どこまで直すかというと、閲覧者が見られる状態まで。
閉じるどころでなく粉砕しちゃった本ってのもあるわけで、そういうのは、中性紙でつくった保存ラッパーというファイルとボックスに保存するんだって。
かがり綴じができる本というのは紙が丈夫なものに限られている。オーバーソーイング(機械で縫う)というのと、背に溝をカットして、そこを芯にかがるクリットソーイングというのの見本を見せていただいた。
あと、和本の人はほとんど木工ボンドは使ってない、といってた。ご自分でちょうどいい具合に練った、ちょうふのりと ぎんじょうふのり。よごれたページを拭くのにはエタノールを使う。
修復はきりない仕事。虫が食べた和本なんか、まるでレースペーパーのようなんである。それでも和紙というのは強くて、こなごなにならずに四角い姿を留めている、一日に1ページか、2ページ進めばいい方。若いお嬢さんが、エプロンをかけて、足を踏ん張らせて水張りしていらした。根気も体力もいる仕事だなあ。かつては憧れたが、何年もそれだけ、なんて、とてもよねには我慢できないよ。
製本工房の仲間は「どうしたら、ここで働けるんだ?」ということに、興味津々だった。「なんか気がついたら、ここにいた」という人が多いみたいだった。みんな、働いているうちに、貴重な技を覚えて、そしてそれで人の役に立っていく。
好きであらかじめ修復を習ったとか、製本家を目指して修行した、というような人はいない。仕事で自然と技が身に付いた人たちにとっては、好きでで虫食いついだり、しみと格闘しているわたしたちのほうが、よっぽど変わってみえるかも。
国会図書館の直す本にはきりがない。しかも、一点一点、価値を見極めて、人の手で直して行く他はないのである。
修復待ちの本が人類がある限り終わらなさそうに積まれている。とてつもないワークをし続けていらっしゃる方がいるのだなあと思う。
投稿者 midori : 11:54 pm | コメント (0)
18 juli 2005
1980年代生まれのすばらしいもの
かーっ。
夏になっちゃいました。暑いです。 MacG5。顔のすぐ横ですごい熱を放射しながらぶんぶんいってます。今年も冷房、壊れたままです。(あと、ファックスも壊れてしまいました。ときどき、電話が繋がらないみたいです。新しいのが買えるまで、がんばれ、おれ、がんばれ、Mac, がんばれ、FAX)
数あるカフェのコーヒーの中で、よねがいちばんおいしいと思っているのは、スタバでもドトールでもなく、ミスタードーナツのコーヒー、です。(オレンジジュースとカフェラテはドトールがいちばんと思っている。それから、エスプレッソはセガフレード。スタバは当たり外れが多いので、最近警戒)
よくミスドに入る。そしてポンデライオン、でなくて、ポンデリングとコーヒーを頼む。このあいだ、つい買いすぎて、おまけの35周年グラスをもらった。創立当初、ショップで使われていたグラスの復刻版ということだ。もらった瞬間はちょっと迷惑だったけど、いまやよねのお気に入りになっている。
これ、すごい優れたデザインです。氷を入れた場合、腰の部分のくびれに氷がひっかかり、飲みものだけがストレートに口に入るようになっている。洗うときにもちゃんと指が底に届く。きもちいい高さ。ビールをついだ場合、泡がすぐに消えてしまうのは淋しいが、350ml缶を開けた場合、確実に2杯取れる、一缶が長持ちする、飲み過ぎない、ありがたサイズなのだ。
80年代、ビールは飲まなかったが、唇に当たる触感が懐かしい。
そーか、あの頃、ミスドはこんなに優れた食器を使っていたのか。
よねの住む町にはモノレールが通っている。乗っている時はわからないのだが、夜走っているモノレールを下の道路から見上げると、これはなぜか、「銀河鉄道999」に似ている。宙に浮いているのでも、宇宙を走るのでもないのだが、なぜかいつも「メーテルゥー」と心の中で言う。
きょう、スポーツクラブの帰り、モノレールの下を歩いてて謎が解けた。
ヘッドライト、だ。ヘッドライトが銀河鉄道なのだ。
千葉のモノレールはぶら下がり式なので、ヘッドライトが、普通の乗り物とは違う場所についている。車両の先頭を顔に例えると眉毛の当たり。夜は暗いので、向こうからやってくるモノレールがライトから視覚に入って、窓の明かりを光らせながら空に消えていくるのだが、このライトの感じが、アニメの銀河鉄道999を彷彿とさせるのだ。
松本零士先生〜。
80年代に作られたアニメとか漫画とか、歌とか、キャンペーンのキャラクターとか。現在50代後半〜60歳前後になろうとしている世代の人たちは、なんだか、少し年上の大人に比べてずいぶん割りにあわない目に遭っているみたいだ。ちょっと損してるみたいな世代だが、文化的にはすごい仕事を残した人たちだと、よねは思う。
投稿者 midori : 11:17 pm | コメント (0)
04 juli 2005
もっとも苦手なこと
↑製本工房リーブルと印刷屋帆風との往復のときに見つけた風の通り道。飯田橋のTOYOTAビルの脇の小道。
ほんじつはすごい雨降り。今、外はしんとしているけど、さっきまでひどい土砂降りであった。
たまった仕事を片付けるつもりが、財布の中の領収書の整とんと、かかった費用の請求書作りで、ほぼ一日が終わってしまった。
自分の仕事の値段を決めたり請求のお便りを書く。これが目下のところ、いちばん苦手な業務である。
やってしまおうと思ったすきに、すばやく書き終え送ってしまわないと、またたいへんなことになる。
無くしちゃった納品書をファックスしてもらったり、糊でいったんはった領収書を、びりびりはがしてコピーを取りにいったりと、手際が悪いことこの上なし。ほんと、書類処理能力ゼロだ。だいたい、電卓で検算するたびに数字が違うって、どういうこと?
ひとりでおやりになっている、かっちょいいクリエーターのみなさんも、こういうこと、ちまちま自分でされているのだろうか。それとも、ばーっと、スタイリッシュでダイナミックな請求書を一発書いて終わり!にしているのかな。
投稿者 midori : 05:45 pm | コメント (0)
01 juli 2005
長距離、電車女
お久しぶりです。ブログ書き込む時間もないくらい、この2週間、製本の仕事に没頭しておりました。
今や夜中も起きてるオペーレーターが電話で相談に乗ってくれて、データもFTPを使って送信で入稿ができる。深夜でも朝方でも仕事が進められる。ほとんど、眠る時間がない日々が続いた。
家が東京の各ポイント、各会社から遠いというのは、時間が限られた事態に陥ると、すごいハンディになると思っていたのですが、このたびは電車に乗っている時間が、ちょうどいい昼寝タイムとなってくれて、なんとか体がもった。夜寝てない日でも、電車に1時間とか乗ってるから、ちょうどひと寝入り(熟睡)して元気回復できる。座れれば天国、立ってると地獄。もう、見えはってて立ってなくてよい歳になれたのがうれしいぞ。それとサラリーマンじゃないから、電車空いてる時間に行けばいいのはありがたいぞ!。寝付きがいい自分、すてきだぞ!
そんな超せっぱつまった納品が一つ終わり、ちょっとほっとしてます。一面、クリア、ってとこか。
上の写真は昨日納品した絵本。中身の面付けもInDesignをつかって、南風堂でこなしていて、印刷は「Vanfu」という24時間営業のコンビニ印刷に頼んだ。ここのところ、最初に描いた設計図どおりに、なんでも自前でできるように、やっと回ってくるようになってきました。
この2週間、まったく止まっていた、学校の先生業やなじみのお客さんのレギュラー仕事に、これからとりかかります。そのなかには、「南風堂」のホームページやら、サイコロピーのリニューアルやらも含まれている。7月中にはなんとかしたい、と思っております。
全クリにはまだまだ遠いが、がんばれ、おれ。