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大風で眠れない夜、ひらめいたこと

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立派な木の枝ぶりを見るのが好き。木に住んでいる虫になった気持ちになる。ぐんぐん登る登る。
 先週の金曜日、千葉に大風が吹いた。よねの家は、築40年の木造の平屋である。風が吹くと雨戸はがたがたなり、車庫の屋根はばりばり震え、ものすごい音をたてる。夜12時ちょっと前に家にたどり着いて、少し考えごとをしてベッドに入ったのは2時過ぎになった。風は勢いはぜんぜん止まらない。
 眠れない。そんなこと、よねにとってはすごく珍しいのだが、風の音を聞いているうちに、いろんな考え(それも楽しいことではない、切ない気持ち)が押し寄せてくる。不眠って、こんなふうに辛いんだろうか?
 バレンタインの前日だったので、お世話になっているディレクターの事務所にチョコを持ってうかがった。愛を告白に行ったわけでない。バレンタインチョコはよねにとって、「台湾のビジネスマンにおける月餅」みたいなもので、お礼の気持ちを伝える格好のチャンスでなのである。この先生は夜中に仕事をされる。じゃまをしたくなかったので、まだ出勤されない3時半をねらって出かけた。いろいろのお礼の手紙を置いてそっと帰るつもりだった。
 アシスタントさんとのお話が弾んで時間が過ぎた。もう帰ろうと思ったときに、先生がみえる。予告より早めのご登場であせった。B0のポスターを3枚頂いてしまった。ご挨拶をして引き上げたが、応援をいただいたことに感謝を伝えるつもりで出かけて、また気を遣っていただく結果になってしまった。

 大風の音を聞きながら、よねの心はこの日の出来事を何度も反すうしている。恥ずかしいような、後悔に似た気持ちで胸がいっぱいになり、すっかり目が冴えてきた。
 「行かなきゃよかったのかも」
 くよくよした気持ちがどん底まで沈んだとき、ぱちっとスイッチが切り替わるように、ある問いが浮かんだ。
 「なんでこんなに落ち込んで、嫌な気持ちになってるんだろう?」
 嫌だ嫌だと自分をせめるのをちょっと置いておいて、この「みじめで酸っぱい気持ち」を中心にすえて考えてみた。
 申し訳ない、わたしってだめな人、という気持ちになるので嫌なのだ。なんで申し訳ないかと思うかというと、先生と向き合うと、いっつも、「Give and take」でいう「take側」つまり「取ってくほうの役」になっているからだ。
 かつて、よねはこの先生からすれば、「クライアント」の会社で働いていた。先生からすればお客さんだったのである。よね個人は「Take」ばかりやらかしていても、ディレクターさんからすればよねは「Give」な人であったはずだ。
 会社を辞めてからが問題なんである。1ファンとして遠くから応援を送る以外、「Give」することが出来ないよねなのに、お会いすれば若いときと同じ調子で、まだ「Take」し続けである。6年経った。いままで一度も「Give」側になれたことがない。ここがダメなところのキモなんだと気がついた。

 「よし、またチョコもっていくぞ。でもきっと必ず、チョコの他にもプレゼント持っていけるようになる!」
 先生はよねの父と同じお歳であられる。お元気なうちに、いっしょにお仕事ができる日が来るのであろうか?野望、というより無謀なドリームだが、どんな夢もまず見なければかなわない。がんばる。