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ニコ・ビロスマニと梅雨のおでかけ
いつも見るたび、ふにゃら〜、と、力が抜ける、モノレールの各ドアに貼り付いてる、あやしげな「千葉のニコ・ビロスマニ」。しっぽと顔の模様の様子から、沿線の動物公園に住む「レッサーパンダのフウタ」だと思われるが……。
月曜日は休日、訳あって鎌倉に出かけました。千葉県の最寄り駅から横浜方面へは、総武・横須賀線快速で直通なので、行き方は超簡単なのだけど、2時間ずっと座りっぱなし。途中からひどく体が冷える。土砂降りと土砂降りの間の小休止をうまく縫って、まったく濡れずに小さな旅ができました。ラッキーなこと。
小町通りの「鎌倉ハム」の看板のかかった肉屋さんで、自家製焼豚をお土産に買って帰った。薄くスライスして生野菜を添えて、晩ご飯のおかずにしたら、家族に喜ばれました。
引き返す途中、まっすぐ千葉に戻るのがもったいないので、湘南ライナーで渋谷に出て、東急文化村の「青春のロシア・アヴァンギャルド」という展覧会に寄った。1900年代の初め、パリの「キュビズム」や「フォービズム」、それから北イタリアの「フチュリズム」なんていう、美術の新しい流れが、ロシアの若者に伝染して、土地の伝統的な感覚なんかと混ざり合って「ロシア・アバンギャルド」が始まる。のちのバウハウスの先生になったカンディンスキーや、パリのオペラ座の天井画を描くことになるシャガールなんかもこの時代の洗礼を受けていたんだって。
よねは白黒のグラビアの古いマレービッチの載っている画集を持っていて、会社員だったころ、よく眺めていたことがある。それで、この展覧会を見に行きたくなったのだけど、マレービッチはちょっと悲しい芸術家だった。共産主義によって、取り締まりが厳しくなると、アーティストの選択は、外国に亡命するか、政府の言う通りのスタイルの絵を描いて国内にとどまるかの2択しかなかったらしい。国内にとどまったマレービッチは、写実主義の画家に戻る。後に描かれたタッチの荒い思いっきり写実の肖像画を見て、なんか胸がつまった。
レストランの看板を1ルーブルの絵の具代と引き換えに描きまくったというニコ・ビロスマニという画家を知って大収穫。笑ってしまうくらい大らかな物の形が、ちょうどいい場所に納まっている、気持ちいい幸せを感じた。絵を描く楽しさがあふれてくる。
よねは画家ではないが、ニコ・ビロスマニの物を作るときの姿勢を見習いたい。
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