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卒業制作

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レトロにしようなんて思ってないのに30年前な感じで、メニューに「トースト」「ポテトサラダ」「おでん」「目玉焼き」とか、不思議な取り合わせがふつーに並んでる、カウンターだけのリトルショップ。この手の店があると、どうもふらふらと入ってしまう。
 今年初めてのキンモクセイの香りをさっきチャッチ。どこかに出かけたいような天気でしたが、「お布団を干す」を選びました。それと夏のブラウスとかジャケットを全部洗濯しなおして片付け、冬の衣類と入れ替えました。こんなにたくさん持っていたのに、なんで毎週おんなじものしか着なかったのだろう。
 前の冬からデザインを教えていた生徒さんたちが、いよいよ卒業制作の時期を迎えてます。
 毎週土曜日にデザインのノウハウを教えている、ビジネスマンが通う技術の学校。学びにこられる生徒さんはだいたい2派に分かれます。一方は学校に来る前から、なんらか表現の仕事の経験を持っている人のグループ。どんな分野であれ、もの作りの現場を見たことのある人は、デザインのこつをぐんぐん飲み込んで、学校をいい意味で利用して、次の足がかりをご自分で在学中から捕まえてらっしゃる。
 もう一つのグループはものを作るトレーニングを中学や高校の美術の授業時以降したことがなかったが、絵を見たり描いたりするのは好きで、ずっとデザインの仕事に憧れて、というチーム。課題はいっしょでも、二つの派には、それぞれ違うところをとっていってもらうことになる。一つの授業をしているんだけど、初心者レベルの説明と仕事レベルの指示をいっぺんに出している感じ。
 この学校のカリキュラムはとてもハードだ。自分が生徒だったら、おそらくこなせないだろうなと思うくらいたいへん。仕事しながら勉強して、普通じゃない量の宿題をこなすのだから、全課題をこなして卒業制作までたどりつける生徒さんは、どの方もほんとにあっぱれな精神力である。入学時にはパソコンの電源も入れられなかった人が、半年後には自分で企画を立て、会社に買ってもらえるレベルの作品を作り上げる。
 教えているわたしがいうのもなんですが、いまだって仕事、怖いです。逃げたいと思うこと、しょっちゅうある。無事納品できるかなあ……。仕上がりが事故無しで無事に刷り上がるかどうか。考えるだけで心拍数が上がります。心の底では「転職より、嫁に行けよー。その方が楽だぞー」と、まじに思っています。「最初は楽しさを伝えなくてどうする」というご批判もなくはないが、楽な道ではないのは事実なので、尾根から一気に谷底に滑落したときの体験も痛みも話しています。それでも、行きたい人は、進む。がんばれ。