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青山二郎の眼
浅田二郎「憑神」と高野和明「幽霊人命救助隊」。ぶっつづけはまった幽霊小説2編。大爆笑とどきどき。寝苦しい暑い夜におすすめ。
世田谷美術館の企画展を見てきました。青山二郎の収集した骨董品の展覧会。青山二郎というのは、古陶磁器の分野で、器の世界でそれまでジャンルのなかった「朝鮮の陶器」「民芸品」に美しいものを発見し、日本の美術界に新しい価値観を築きあげた人。普段の顔は高等遊民(働かなくても食べていける)。古美術のコレクター。大金持ちから骨董品の目利きを頼まれ、コレクションの目録を編纂したり、美術品の評論を書いたり、本の装丁家としてときどき仕事をした。
物を選んで使うとき、その効力を沢山もらえるものと、そうでないものの2つがある。わかりやすくいうと「あたり」と「はずれ」。物を選ぶとき(作るとき)、いいデザインで、そのものの使いよさを予想して物を選ぶ。この展覧会は、そういった物の力の正体というか、「美しいもの(デザイン)」の定義が理屈でなく、眼でくっきり確認できた展示だった。
触ったり、それでお茶を飲んだりすると、もっと美しさを実感できるのだろうな。そんな不謹慎なことを考えてしまうくらい、地味でさりげない道具たちだった。ずっと眺めていたい気持ちを持つ品が多い。どうしてももって帰りたいものが3点あった。
力があるから美しく感じるんだろうか。美しいから力を感じるのか?
美術品として生まれてきたわけでなく、どこかのだれかが使う道具として生を受け、偶然を何べんもすり抜けて、今、この場所にある。陶器の地肌のずっと奥から発せられている、きもちのいい力に癒された。
これからあと何年生きるかわからないけれど、これからの人生は、なるべく豊かに楽しく暮らしたい。買うべきもの、手に入れるものを楽しんで選んで、飲んだり、食べたり、眠ったりする一瞬一瞬の幸せの密度を上げて生きたい。そう願った。
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