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27 januari 2006

手製本を教えてみた

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 デザインを教えている専門学校の一年生に、「マイバイブル」という16ページものの本を作らせた。InDesignというレイアウトソフトの教材。100%よねオリジナルの教材だ。
 「マイバイブル」の内容は、わたしが日々心に繰り返している、好きな言葉を16ページにまとめた本。宮沢賢治の「雨にも負けず」なんかも収録されている。詩集のようなレイアウトにしたのを生徒にサンプルで配布して、まずはそのとおりに作らせた後、
「これは先生のマイバイブルだから、みんなは自分の好きなことばに変えて、一冊提出。イラストを加えたり、レイアウトや判型を変えたりは自由」と言って、レイアウトもデザインも生徒に任せた。
  InDesignというソフトは面付けができない。1ページから16ページまで、順に出力することしかできないので、「袋とじ」で本を作る方法を考えた。冬休みに入る前に、A4の紙に出力したのを二つ折りにしたのを平綴じにして、周りを裁ち、平背の本にして仕立てるところをお料理番組みたいに、教室でみんなの前でやって見せた。
 冬休みが明けた。生徒たちは、好きな歌の歌詞なんかに、自分のイラストをつけたりして、けっこういい中身を作ってきている。手書きでまんがを書くがんこなアナログ派の子にも、Photoshopで読み込んで加工して、IllustratorかInDesignに貼付けてレイアウトする方法をしっかり教えてある。1年前とは見違えるようなものをみんな作っている。
 アウトプットのちゃんとしたお手本があれば、きっとプロでない人でもいい本が作れる。そう確信した。
 1月の授業は3回あったのだけど、生徒の作品の講評会と個別のだめだしのほかにもう一つ、「製本」をかませた。
 いちばん早く完成に近づいていた子の本を取り上げて、みんなの目の前で豆本に仕立ててみせた。
こどもたちは、目の前で友だちの本がみるみるできて、びっくりしていた。それで、みんな火がついたみたいに「自分の一冊」を作りだした。自分の本を持ちたくて。
 今年の終了制作は「自分の本」。わたしの授業はテストがないかわり、実物提出。来週が提出締め切り。すごく楽しみ。
 たくさんの部数を出版する本もあるけど、個人が自分の本を持っていてもいいんじゃないか、という考えは変わらない。
 「パブリッシュ」という言葉がインターネットでものすごく個人に近づいたように、いまや、印刷も本も個人レベルに降りてきている。個人のための製本もりっぱにカルチャーの仲間入りをする資格があるなきっと。
 今日でこの学校の授業は終了。正直いってほっとしていたのだが、2月に製本のオプション授業を依頼された。

投稿者 midori : 11:28 pm | コメント (0)

20 januari 2006

それぞれの名作

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 教えに行っているWebの学校で、5月からスタートしたクラスの卒制の締め切りが迫っている。
 6ヶ月の密度濃い授業を受け、卒業制作の期間が2か月。追い込みにかかった生徒さんたちが何人か、学校に詰めに来ている。この学校は真夜中もオールナイトで教室を貸しているので、佳境に入れば泊まり込んでいる人もいるはず。
 よねもかつて、ここの生徒だったのだが、自分の卒制のときを思い出す。同じ学校出身の先輩の家に泊まり込んで、FlashというWebソフトをつききりでコーチしていただき、仕上げをつめた。先輩のおかげで、自分じゃ書けないだろーと思われる小ワザがダイナミックに盛り込まれ、おかげでできた卒制は、普段の実力以上のできとなった。
 そうとう無理して、がんばったのだったが、よねの卒制は学校の代表作に選ばれることも、それから、この制作が転職などの転機になることもなく、学校生活は終わった。
 しかし、このがんばりは、なんと5年後に効力を発揮することになる。かつての学びやに戻って、しばらく働いていると、5年前のクラスの先生や担任の方といろいろな場所ですれ違う。「生徒でした」と、あいさつする。最初はみんな忘れている。あたりまえだ。生徒なんて1年間に何百人も入ってくるのだから、いちいち覚えているわけがない。
 ところが!である。よねが作ったゲーム「サイコロピー」は、先生方、スタッフさまがたの記憶に、みごと残っていたのである。
 「あー、あの、占いのサイト作ったかたですよねー」っていうふうに、何人もの方に思い出していただけたのは、自分でもすごいうれしいことだった。
 デザインとか物を作る仕事のうれしいところはこういうところだ。自分の思わぬところでかたちで、作った物がいろんな人に見てもらえる。使ってもらえる。人の心になにかを残す。
 5月に学校に来たばかりのときは、なにもできなかった人の手から、いま、着々となにかの役割をするサイトが生まれつつあるのだと思うと、ちょっと興奮する。宝石みたいな名作が混ざっている。それを磨くお手伝いをしてたら、今夜も終モノ、間に合わなかった。

投稿者 midori : 03:04 am | コメント (0)