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それぞれの名作

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 教えに行っているWebの学校で、5月からスタートしたクラスの卒制の締め切りが迫っている。
 6ヶ月の密度濃い授業を受け、卒業制作の期間が2か月。追い込みにかかった生徒さんたちが何人か、学校に詰めに来ている。この学校は真夜中もオールナイトで教室を貸しているので、佳境に入れば泊まり込んでいる人もいるはず。
 よねもかつて、ここの生徒だったのだが、自分の卒制のときを思い出す。同じ学校出身の先輩の家に泊まり込んで、FlashというWebソフトをつききりでコーチしていただき、仕上げをつめた。先輩のおかげで、自分じゃ書けないだろーと思われる小ワザがダイナミックに盛り込まれ、おかげでできた卒制は、普段の実力以上のできとなった。
 そうとう無理して、がんばったのだったが、よねの卒制は学校の代表作に選ばれることも、それから、この制作が転職などの転機になることもなく、学校生活は終わった。
 しかし、このがんばりは、なんと5年後に効力を発揮することになる。かつての学びやに戻って、しばらく働いていると、5年前のクラスの先生や担任の方といろいろな場所ですれ違う。「生徒でした」と、あいさつする。最初はみんな忘れている。あたりまえだ。生徒なんて1年間に何百人も入ってくるのだから、いちいち覚えているわけがない。
 ところが!である。よねが作ったゲーム「サイコロピー」は、先生方、スタッフさまがたの記憶に、みごと残っていたのである。
 「あー、あの、占いのサイト作ったかたですよねー」っていうふうに、何人もの方に思い出していただけたのは、自分でもすごいうれしいことだった。
 デザインとか物を作る仕事のうれしいところはこういうところだ。自分の思わぬところでかたちで、作った物がいろんな人に見てもらえる。使ってもらえる。人の心になにかを残す。
 5月に学校に来たばかりのときは、なにもできなかった人の手から、いま、着々となにかの役割をするサイトが生まれつつあるのだと思うと、ちょっと興奮する。宝石みたいな名作が混ざっている。それを磨くお手伝いをしてたら、今夜も終モノ、間に合わなかった。