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ありがとうアムステルダム!
建物の上のサインには「あむすてるだむ、せんとらあある、すたしおん」と書いてある。駅の前の路面は、線路だらけ。駅の正面はアムステルダムじゅうへのトラム発着の中心でもある。
たいへんな旅の続きです。何ヶ月か経って、こう思うのです。
行ってよかった。アムステルダムはますます忘れられない場所になったなあ。
あーこれが、おれの旅なんだ、って思ったね。
旅が自分のものになった気がした。したかったのはこのことか。
「自分の体験を人に役立てる」
それがわたしの「幸せ」なのです。
みこしは見る物でなくて担ぐもの。ダンスはみるものでなくて踊るもの。合唱は聴くものでなくて唄うもの。旅は買うものでなくて作るもの、人を喜ばせるもの。
こうでなくては、わたしは「まだ足りない」って思ってしまう。
楽しかったり、きれいだったり、それだけでは満足できない。かならず、自分でやってみて、自分で作ってみて、そいで、だれかに伝えたい。だれかに良かったと思ってもらいたい。
旅だったら、「ぽつ」「ぽつ」という、スポット的な「お楽しみ」でしかないのなら、どんなに豪華な特典がついてても、まったく興味がわかない。行きたくない。でも、行った経験が「ポポポン」と、次の何かにつながって、積み重なりそうな予感がするなら、どんな貧乏旅でも俄然、やる気が出ます。
旅以外のことでもぜんぶ同じです。
ちっちゃくても質素でもぜんぜんかまわない。むしろ、大きいと困る。誰も気にしないくらいなのがちょうどいい。世界最小でいいから、自分以外のだれかの役に立っていたい。だれかに喜んでてもらいたい。そしてできるならば、大喜びして覚えていてもらいたい。
すごく単純なのですが、そこんとこがわたしの生きる原動力というか、生きる意味だったのではないか?と、このたびの難易度ウルトラな旅をやり抜くことで、やっと見つけたのです。
ありがとう叔父!ありがとう叔母!そしてありがとう!くみちゃん!ありがとう母!ありがとう母の病気。ありがとう母の病院の先生!ありがとうアムステルダム!