ステップ台
本の作り方を教えた生徒たちの作品が、宅急便で届いた。
じーん。
巻いてあるプチプチを開いた瞬間、ものつくりの基本の心みたいなものを生徒さんから、反対に教わった。
24人中17人提出。遅れて出しますという知らせが2人からあった。
一年生なので、いろいろケチつけるところはある。でも、一冊一冊から伝わってくる。それぞれの生徒が、何時間、パソコンの前に座りっぱなしだったか。
夢を語る口だけは大きいけど、手がさっぱり追いついていなかった生徒も、彼にしては大作をちゃんと出してきていた。提出名簿に丸ついてないので、きっと、梱包ぎりぎりに滑り込ませたんだろう。提出直前の週に、中身ができてないと言い訳するところを無理やり、プレゼンさせて、クラスの前で大風呂敷を広げさせた。それがよかったのかもと、感じている。
この人たちとつきあう1年の最初に、
「2005年の日本という場所で、デザインを勉強しているってことじたいが、世界的に見たら、すごいこと(よねは、まじ、そう思っている)なんだ」と、はっぱをかけた。そのアンサーがこの作品たちなんだと思った。
デザインの現場は厳しいし、はっきりいって空気は汚い。
師匠がタバコを吸う人なら、副流煙をじかに浴びて身も心も汚染される。。どんなに胃の調子が良くなくても、出された杯は断ってはならない。カップラーメンを10回は食べなきゃなんない週もある。目も歯も悪くなる。結婚だって簡単にできないし、したとしてもうまくいかない(だんなと仲良しの女デザイナーがいたら、よぉっぽど、だんなの性格がやさしいか、なさけないか、お互いにうそつきかのどれかだと思う)。おまけに、そんなにもうかんない。自分を見失うことだらけの道である。
会社員時代、大学のときに作ったよれよれの絵本を何べんも取り出して見ていた。ただ懐かしくて見ていたんじゃない。自分の出発地点を確認していたのだと思う。
この生徒の中にも、今回作った自分の本を今後何回も取り出して、自分確認する人がいるかも、と思う。
今年は各々のための1年だったけど、2年生になったら、もっと大人の仕事をさせなくては、と、誓う。
デザイナー業はたいへんなことばっかだった。たぶん、わたしはもうデザイナー道の、折り返しをかなり回ったと思う。ぜんぜんたいしたことない先生である。それでも、生徒はこんなにいい仕事をしてくれる!。
「わたしを踏みつけてどんどんおおきくなって!」と言いたい!