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にじがでた

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数日前、家で仕事してたら、夕方ごろから熱帯みたいな大粒の雨が降って来て、きゅうに晴れた。
「ねえねえ、にじがでてるよー」
庭いじりに出てた母がわざわざ、わたしを呼びにきた。

虹は夕焼け空のオレンジをバックにした珍しい色合いで、見ているとだんだんに色が濃くなっていく。
「ほんとだー、にじだねー」

虹が出たとき、虹のことを話す人がそばにいるのはほんとうに幸せだなあ。
あたりまえでなんでもないことなんだけど。
いろんなきれいなことや楽しいことを自分以外の人とシンクロしていっしょに味わう。そういったことができないと、どこまでもいつまでも安心感を得られない。人は、というより、よねは。伝達幸せ式人間である。

きれいなものやいいものを、伝えた人が、いままで何にも思わなかったのに、きれいさを発見してくれるのはうれしい。
それで、それをもとにもっときれいなものを作って見せてくれたり、紹介してくれるのはもっとうれしい。

単純な喜びは文字で書くとばかみたい。
そういう、ごくごくかんたんな、うれしさの中にいる。