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本を作る
修復のための作業の続きの写真です。このようなばらばら状態になるまで、本をむきます。右のページの小束一つ一つは左の写真のような4枚の紙が一組に二つ折りになったもので、この一束一束を「折丁」と呼びます。一折丁は4枚の紙からなっていることが多い。本のページにすると16ページ。
文章教室の仲間やクリエーターの間で「本を作る」といえば、内容を執筆することにほかならない。「本を作る」話を友だちに話すと、bookbindingを100%手で行うということが、なかなか理解されないことが多い。製本の国で「本を作る」とは、内容の編集のことではなく、本の外側を作る作業のことをいう。
本の歴史が長ーいヨーロッパでは、製本人口はとても多い。日本でもこれから退職後のおっさんの格好の趣味の一分野として盛んになっていくのではないかと、よねはにらんでいる。
よねが行っている「製本工房リーブル」では、ぼっろぼろの古い本をアトリエにもってきて、どの生徒にもわりと始めのうちに時間かけてよみがえらせる練習をさせる。古い紙を束ね直して、綴り直して磨いて……。気の遠くなるような工程を経て本を作ってる。地味な作業の繰り返しだが、すごーく贅沢な趣味だ。
手作り製本をラーメンに例えると、7〜800円くらいですぐに食べられるものを、自分の台所で正統にいい味出して作ろうと挑むようなものだ。鍋を探して鶏ガラと野菜をえらんでスープを取って、何時間もかけてラーメンを作る以上のまわりくどさだと思う。