図案の手帖
友人から本の修理を頼まれた。ご覧のとおりビニールの表紙は湿気のためか、濡れたことがあるのか、色があせて波うっている。背がばらばら。
ぼっろぼろでも、友人にとっては「いつもこればっか見る」いちばん大切な参考書なんだそうだ。奥付を見ると昭和38年1月1日改訂6版、となっている。定価は150円だって。
もとはお兄さんの本のものだったのを譲り受けたそうだ。見返しの裏に子供の字で名前が書いてある。ところどころにお兄さんの手によると思われるボールペン書きの図案が加わっているのがほほえましい。
この本は紙を二つ折りにした束を糸で縫ってある作りになっている。糸でかがってある本は仕立て直しが可能なのです。まあ。買った通りのそのまんま、というふうなのは難しいけど、あと100年くらいは愛用できる形には仕立てられる。どこまで戻してどんな本にするか、任せていただいた。表紙にはこの友人からもらった黒地に細かいドットの生地を使おうと思っている。