2005年04月14日

Spring

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春の風が桜の枝を揺らす。
「とっていいよね」聞かれ、私は「うん」と答える。
その人は一輪だけを軽く指で摘んだ。
春風が私の前をヒューと、とおり過ぎ、
その時「大切にするよ」
と花に向かって呟いたのが、かすかに聞こえた気がした。
花を採ってはいけない、という考えの人。
何も気にせず、花の枝を折る人。
意識をし過ぎた厳格さと、無意識の我がまま、
その中間あたりに私の心にチクリと触れる世界がある。
その一輪の桜は他の花が散っても、
ノートの間でずっと咲き続けるだろう。

 

投稿者 midori : 17:41 | コメント (0)