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2005年07月11日

「太陽のしずく」

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 アンデルセンのメルヘン大賞に選ばれた5作品は一冊の本に編集され、アンデルセンのメルヘン文庫として10月頃刊行され、ベーカリーのアンデルセンにて販売されます。

 わたしは、みやざわともこさんのカフェしずく亭「太陽のしずく」という絵本作品のために、10点のイラストレ−ションを描きました。
その本の巻末の選考にあたっての文章を掲載します。ちょっと長い文ですが読んでいただければ幸いです。

アンデルセンのメルヘン大賞選考にあたって

 この作品、カフェしずく亭「太陽のしずく」の物語の世界には、あたたかいゆったりとした時間が流れているのがとても魅力的でした。

 何しろこのさつきさんのカフェを訪れる福山さんは、蝶ネクタイをしめた70歳ぐらいの人ですが毎日やってきて、はざま山をながめて、日が沈むまでいて帰っていくのですから。各駅停車の話をしたり、新聞紙につつんだまがったきゅうりをくれたり。そしてさつきさんはピッチャーに紅茶の葉と水を入れて、日なたに置くだけの、太陽の暖かさが入れた「太陽のしずく」をお店で出します。スローライフの心が流れていて、心地良い世界がそこにはあります。

 福山さんは何で一日中しずく亭にいることができるのか、それはちょっと不思議な理由があるんですが。息子さんが建てている、福山さんの大切にしている品々やヨーロッパで集めてきた美術品と一緒におちつく、フクヤマミュージアムが建つまで。大切にしているものに匹敵する澄んで輝く「太陽のしずく」のある、しずく亭に心のおちつき場所を見つけたようです。

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 福山さんはそこで、とても良いことをします。さつきさんの「太陽のしずく」を褒めるんです。「・・・すんだきれいな色だ。これはりっぱな芸術品だね」この作品はテーマとして”褒めること””心をつなげること”があるように思いました。人は体という殻に閉じ込められていて、一人の人間として孤立している。それはとても悲しいことです。他の人とつながって生きたい。そこで人はどうするか。福山さんがしずく亭を毎日訪れたように、一つは寄り添うこと。もう一つは褒めること。あなたは素晴らしいよと「さつきさんの紅茶もなかなかですよ」と福山さんが話したように。

投稿者 midori : 2005年07月11日 15:54

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