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集中!

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人はどれくらい集中できるものか。
夕べのテレビ番組「情熱大陸」(←「はたらくおじさん」大人版)で、装丁のデザイナー鈴木成一さんが取材されていた。
年間600冊の本をデザインしているという。一冊一冊ゲラを読み込んでデザインを決めていた。まあ8人もアシスタントがいて、鈴木さんの手足になって実作業を片付けているから効率はいいのだろうけど。仕事は数でなく、質だと思う。でも、600冊という仕事量はすごい。読むだけだってたいへんだ。
会社にいたときもよく思ったけど、ばりばり仕事している人の時間をのぞくといつも圧倒される。
自分がこれだ!と、決めた分野なり世界で活躍できる人ってのは選ばれた人で、だれもがそうなれる、ってわけでもない。よねはラッキーな人で、わりあいすごい人たちに出会い、囲まれるチャンスが今まであった。それでよくわかるんだが、すぐれた人のなかでも、密度の濃い仕事をすごい量こなす「旬」ってのは一生のなかでもごく限られた一期間なんだよなあ。「人の旬」って見ていて、感動はもちろんするけど、すこし切ないきもちにもなる。
振り返ったり、どれが正しいとか考えてる暇なんかない。こなさなきゃならないことが目の前にどんどん積まれて、それをとりあえずクリアしていく。自分の心も体も現課題に集中するためにある。今の仕事のために生きている。瞬時に決めた判断がぱちっぱちっと魔法みたいに時代にはまって、いくらでも仕事がこなせる時期。鈴木成一さんもそういう旬に今ある。
テレビだから鈴木さんは、すっきり、かっこいいところだけしか映らなかったけど、同じデザインの現場だ。みえないところではきっと、すごい、ぼろぼろになって追い込まれる場面もきっとあるだろう。
グラフィックデザイナーはスポーツ選手に似ている。仕事が刷り上がる最後は派手で華やかに見えるけど、普段している実作業は、腹筋とか筋トレとか基本の練習みたく、地味な動きの繰り返し。その積み重ねなのだ。目をお大事に。