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スカートの話

今、うちの家族で流行っているのはフラダンスだ。
家族でほとんど毎日お風呂に行っている、近所のスポーツクラブの月曜日のコースメニューが変わった。母とわたしは8時20分からの「ジャズダンス」のクラスに出ていたのだが、インストラクターが先月で辞めた。替わりに入ったのが「フラ」。
このクラスがすごい。
月曜日の夜にフラのレッスンが入った、ということを聞きつけた「フラダンスおばさん」たちが殺到した。
地元の公民館にはフラダンスサークルがあるらしい。長く踊りを続けている人が集まる。みんな、花柄がついてて、赤だの紫だのきれいな色のひだひだたっぷりのスカートをはいている。人が少なくて、黙々と筋トレをする人々が主だった汗臭い地味な月曜の夜のスポーツクラブが、花が咲いたみたいな異様な賑やかさに包まる。トレッドミルやらステアマスタをしていたおやじたちは目をくりんくりんさせて汗をふいてる。なんか気がすすまないよねだったが、「なにか一曲でも覚えたら、なんかの時に一発芸として役に立つかも」と考えて、試しに参加した。
まあ、気分はいい。でもちいっとも汗をかかない。スポーツと思ってはいけないクラスだった。運動不足解消のためにクラスに出ているよねにとっては、その前のエアロビとかけもちしないと、せんぜん運動足らない。ちょっと不満。
よねの母のりこ68歳は、がぜんやる気だった。踊りはともかく、みなさんのはいてるスカートに異様に感心をしめした。クラスのあとのお風呂でフラスカートの作り方をハワイアンのバンドをしている奥さんから詳しく聞き出し、直ちに布を調達して1日で縫い上げた。ピンク色の地に白や赤い花が散る、超明るいスカートである。4メートルも生地を使い、ウエストのところに5本もゴムが入る。昨日の第二回レッスンに間に合わせるために、朝6時起きでミシン掛けしてた。
第二回の昨日、レッスン前のお着替えの時間から、まあ、のりこのスカートは奥さんたちに大好評をはくす。あとでこっそり「お母さんのがいちばんきれいな生地だったわ」とうれしそうに言ってた。
よねが1時間前のエアロビに出て、大汗をかいたシャツを着替えていると、「あんた、オレンジのがいいって言ってたでしょ。(そんなこと言ったっけ?)これ、ちょうどオレンジだからはきない」と、ふわふわのスカートをよねに渡す。ロッカールームで新しいスカートを作ってきたフラ好きの会員さんから、無理矢理ゆずってもらったらしい。なんだかよくわからないうちに、願ってもないスカートが手に入った。それをはいてフラを踊るよねであった。
スカートをつけるとあら不思議。なんか先週とぜんぜん取り組みが違ってくるのである。フラの心までも踊ろうと、今週は目線なんかもついてくるのであった!
いろんな踊りやってみたが、フラはなんかよねのキャラとは違う気もする。でも、ま、いっか。これもなんかのご縁だ。めざぜ一発芸。